TEMPEST-2章
ロストサイドの夜景は生き物みたいに揺れていた。黒い闇が沈殿し、その隙間からビルの骨格が光を漏らす。美しいのに、壊れている。壊れているのに、なぜか生きている。その明滅の中で、ひときわ赤黒く輝く塔がある。レッドデビル――旧・東京タワー。あの日、…
大魔王峠
TEMPEST-1章
旧東京──いまはロストサイドと呼ばれる巨大なスラム圏。その空気は、常に何かが腐り、同時に何かが生まれているような匂いを纏っている。道端ではゾンビがぼんやりと倒れていたり。魔界から派遣されたDAWSON社員が“次の出店候補地”として物件査定を…
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ドーラファクトリー編
かわいいは正義。それは人類が到達した数少ない“神の一手”である。そして「詰め放題」の前に人類は無力——いや、あまりにも無力すぎる。かわいい×詰め放題、世界の物理法則をねじ曲げる。この二大エネルギーが、今ここで歴史的邂逅を果たす。今、そのカツ…
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ドリーミア編-終わる悪夢
淡くライトアップされていたドリーミア。まるで夢が覚めていくように、その輝きを静かに落としていった。観覧車が……音もなく横倒しに傾いた。「……みろ」ティアが低く、警戒する声を発する。「何だよ?」とロコが振り向いた、その瞬間。観覧車のフレームが…
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ドリーミア編-踊る悪夢
夜のドリーミアは、静かだった。あれほど賑やかだったメリーゴーランドも、観覧車も、もう動いていない。軋む遊具も、歪んだ音楽も聞こえない。ただ、虫の声だけが遠くで響いている。4人の影が、静かに照明の切れた園内を歩いていく。「探査ミッション……夕…
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ドリーミア編-回る悪夢
昼食を終えて、廃墟のベンチで一息つく中、レイスがふと立ち上がって言った。「……さっき、お前らが観覧車乗ってる間に気づいたんだけどさ」「ん?」ティアが小首を傾げる。「この遊園地の時計、ぜんぶ7:13で止まってるぜ。観覧車の裏のも、レストランの…
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ドリーミア編-同じ悪夢
このところ、決まって同じ夢を見る。最初は遊園地だ。メリーゴーラウンドの音楽が鳴っていて、空は眩しく、風船が空に昇っていく。自分は誰かの手を掴んでいる。だが、その“誰か”が誰なのか、思い出せない。「約束ですよ」赤いスーツに白い髪の人物が、振り…
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海編-楽園の終焉
巨大な心臓核を守る触手が、うねる。夢見ぬ侵入者たちを一瞬で絡め取ろうと。ゼリー質の体内から伸びる粘着質な鞭が、空間を貫こうとする。だがその触手は、もう誰にも届かない。マリーナは膝をつき、強化されたフリントロックを両手で構え直す。銃身には、雷…
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海編-宝島は、島ではない
朝霧が甲板に薄く立ちこめる頃。すでに海賊たちは誰ひとり寝坊せず。ロープの張り替えや、デッキ磨きに精を出している。ロコは毛に朝露をまといながら、手慣れた様子でマストのロープを巻き直す。すっかり船乗りの一員だ。ふと手を止め、横目でキャプテンを見…
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短編集-この世界は奇妙で、おもしろい
スノーベリル-雪の常夏、氷の兄はバテるグラットンバレー。“荒野”の名の通り、昼は溶けるほど暑そうなイメージが先行するが──実際に降り立ってみれば、岩肌を撫でる風は意外と冷たい。陽射しは鋭くとも、乾燥と強風、文明崩壊後の薄まった空気が熱を奪い…
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海編-まだ見ぬ蒼海
潮風が鉄と油の匂いを運ぶ、朽ちた高速道路跡の影。ルートナギサの朝は、大小さまざまな小型船が行き交う音から始まる。ペンキの剥げた運搬船、即席で改造された水上バス、どこか南国リゾートを思わせるカラフルな屋根。けれどもここは“楽園”とは程遠い、沈…
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冥界-伊弉冉編
崩れかけた鳥居の奥。白銀の社が静かに佇む。雪は音もなく降り続けているのに、風が吹いていない。ただ空気が重い、世界が息を潜めているような静寂だった。社の影が微かに揺れる。雪が落ちるたび、その影は“形”を変える。まるで、そこに“誰か”が潜んでい…
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