アルキード編-聖夜に向けて
3人でやったおかげで、昼下がりに終わると予想していたリース作りは午前中で終わった。そしてアネットの話を思い出す。リアナ姫が黒い魔族と話していた、というものだ。しかもその黒い魔族とリアナ姫は定期的に「おしゃべり」しているらしい。「黒い……魔族…
追放勇者・第二幕
アルキード編-勇者代理、探偵になる
--アルキード王国首都「ラピア」ラピアの空は、今日も例によってどんより曇っている。いや、「今日だけ」じゃない。ロディは傘を片手に歩きながら、ふと思う――。(そうだよな、ラピアの空が青く抜けた日なんてほとんど記憶にない。煙突の煙と霧、そしてこ…
追放勇者・第二幕
フーロン編-陰陽、巡る拳
その日の夜、眠り込んでいたガイウスだったが目が冴えて起きてしまった。青白い月の中、その瞳は差し込む光と同じ水色に輝く。「……起きちまった」ガイウスの瞳が「水色」になることは、滅多にない。それは彼が深い哀しみに沈んだときにだけ見られる色だ。普…
追放勇者・第二幕
追放勇者-外伝
黒髪の悪魔-勇者の悪夢昼下がりのフーロン、屋台の娘娘飯店。湯気の立つ水餃子スープを啜りながら、ガイウスは町中の往来をじっと眺めていた。通りを行き交う人々の頭に目が止まる。黒髪、黒髪、黒髪。とにかく黒髪が多い。「……多いな、黒髪」隣のルッツが…
追放勇者・第二幕
フーロン編-瑞兆の麒麟、凶星の虹
午後の陽は、少しだけ西へ傾いていた。ガイウスたちは、なんとなくそのまま店に残っていた。次の情報をどう集めるか。ネプトゥヌスをどう追うか。考えるべきことはいくらでもあったが、辣子鶏の洗礼を受けた直後では、どうにも頭がしゃんとしない。「……まだ…
追放勇者・第二幕
フーロン編-異客・漣江を駆ける
---「ヴァンクリーフ邸」ユピテルと言う嵐が過ぎ去って、放蕩息子との再会を果たした翌日。バルトロメオの父アルベルト・ヴァンクリーフは元の厳格な帝国宰相へ戻っていた。いや正しくは宰相の仕事がてら調べていた、ダリル皇子は本当に急病で崩御されたの…
追放勇者・第二幕
デリン帝国編-雷帝
煌びやかな会場、豪勢な料理の数々、着飾った貴族たち。そんな華やかな場所に不釣り合いな少女が一人いる、ルチアだ。彼女はとても退屈そうにしていた、何故ならここには面白いものが何もないから。ダンスなど嫌いだった、少しでもステップを間違えれば咎めら…
追放勇者・第二幕
デリン帝国編-不穏なイカヅチ
「ここにユピテル殿下が居る筈……」「よっし俺に任せろ!俺は勇者だったんだ、顔パスでいけるだろ」いうやガイウスたちは一直線に帝城のほうへ駆けていく。いきなり走り出した彼に慌てて二人も走り出し、小気味よい足音を響かせる。帝都の景色を目にとめるよ…
追放勇者・第二幕
デリン帝国編-帝都へ…
キャラバンの荷台に荷物が積まれ、御者が手綱を掲げる。夕方六時。出発の時刻が迫っていた。広場は賑やかだ。炭鉱夫たちが笑い、子供たちが手を振る。その輪の外から、小さな足音が近づいてきた。「フラン君!」振り向くと、あの女の子が立っていた。今日は煤…
追放勇者・第二幕
デリン帝国編-断罪者ガイウス
「お邪魔しま~す」「果実酒ありますか~?リンゴ酒がいいで~す」「はいはい。それよりステージを見な!始まるぜ」「どれどれ」ルッツと共に酒を頼みながらステージになっているところを見ると。観客たちに拍手され男が出てくる、その格好は実にすごかった。…
追放勇者・第二幕
出会い編-家出仲間の絆
転機のきっかけはウラヌス(ガイウス推し)が。「そういえば勇者ちゃんどうしてるかな~」と言い出したこと。そして特別製の双眼鏡でアルキード方面を覗いた瞬間、その光景が入り込んできた。追放されなくても出て行ってやるわ。と王族の間で吠えるガイウス。…
追放勇者・第二幕
帰還編-かくして勇者は追放された
魔王討伐に旅立った勇者は、二度と戻らない。誰もが心の奥底で、そう思っていた。王宮に流れる静かな緊張。本来ならば「凱旋式」の準備が進められているはずだったが。アルキード王は玉座でため息をつくばかりである。玉座の下、王の手のひらには一枚の紙――…
追放勇者・第二幕