ゼルノバ・バイオ編-恋は死んでもできるよ♡ - 3/6

翌朝――グラットンバレーは変わらぬ終末の荒野。
だが、カラオケ明けのレイス組一行が外に出てまず目撃したのは。
“朝日よりも主張が強い”バイオハザードマークの氾濫だった。
廃墟の壁、自販機の扉、地下道の入口、ポストの上、道端の瓦礫。
あっちもこっちもバイオハザードマーク!そう、あのヤバいピクトグラムだ!
とにかく、見渡す限りのバイオハザードマーク祭り。
AIが深夜に暴走し、全自動プリント機が理由もなく印刷しまくった結果である。

イザナギが目を輝かせて叫ぶ。
「おい。このハンドスピナーみたいなマークなんだ!?かっこいいんだが!」
手元に転がってた金属片までクルクル回して遊びだす。
ロコは尻尾を振りながらうなずく。
「ピクトグラム系って意味関係なく刺さるよな。
昔の映画で見た“出口マーク”とかもコレクションしてたし」
レイスもニヤニヤしながら同意する。
「いや〜これ不謹慎すぎて言えなかったが、ぶっちゃけカッコいいよな。終末って感じするし」

無意味なマーク貼り大会が始まったのは、そこからだった。
レイスは愛用のナイフの鞘に、イザナギはバイクのタンクに。
ロコは肉球サンドの包み紙に、ウラヌスは自撮りスマホケースに。
全員が「バイオハザードステッカー」を一枚、二枚とペタペタ貼り始める。

その様子を見て、通りすがりの現地民が謎ノリで絡んでくる。
「おー、兄ちゃんたちゼルノバロゴ知らんの?
それ、マジで“ご利益”あるって!昔からサバイバーの間じゃ超大人気だからな!
ゾンビ避けにも、感染祈願にもバッチリだぜ~」
廃墟ギャル(ピアス10個)も乗っかる形でスマホを見せてくる。
「私、推しは放射能マークだけど~、バイオハザードも映えるから好き~☆
昨日なんて“バイオハザード盛りネイル”やってたよ。推しロゴで指先まで終末感アゲてこ~!」

イザナギは素直に真似してバイクのミラーに貼り。
ロコはさっそく「#バイオハザード盛りサンド」を投稿。
ウラヌスは自撮りで「今日も一日バイオハザード」とキメ顔。
レイスは「……地獄でもサブカル魂だけは死なねぇんだな」とカッコつけてみせる。
バイオハザードマークが「ヤバい意味」だと知ってる奴も知らない奴も。
全員がこのマークを「終末ファッション」としてガチで受け入れている。
そんな朝のグラットンバレーだった。

終末グラットンバレーの朝、街じゅうに溢れるバイオハザードマークの嵐。
その“ご利益”だの“推しロゴ”だの謎ノリで盛り上がる一行。
イザナギが真顔で言い出す。
「これさ、ぶっ刺さりそうなピクトグラムでマジ刺さるんだよな!」
ロコも素でうなずく。

「ピクトグラムって、意味分かんなくてもカッコよくない?
ほら、こう……見るだけで“終末”って感じするし!」
レイスが呆れ半分、笑い半分で肩をすくめる。
「いや、お前ら……そのマーク、何の意味か分かってんのか?
普通に“危険物”どころじゃないやつなんだが……。
でもまぁ、終末じゃ“かっこいい”が正義か。」
ウラヌスはさっそく自分のスマホに貼りながら。
「だってコレ貼ってるだけで無敵感あるじゃん!映えとけば意味なんて何でもOKでしょ!」
通りすがりの廃墟民も。
「そうそう、昔から意味分かんなくても貼っとけ!って感じだったし」と首を縦に振る。
「推し活もご利益も、ピクトグラム映えが全て!」
「意味?終末で“意味”とか考えちゃダメっしょ!」
街は、誰も“本当の意味”なんか気にしていないまま、今朝もバイオハザードが眩しく輝くのだった。

ウラヌス、爽やかすぎる朝帰り――いや、「終末カラオケ帰り」と言ったほうが正しいか。
夜明けの魔王城、その大理石フロアを歩けば。“地獄の三馬鹿”がリビングで待ち構えている。
ユピテルは剥製タイムラプス動画の続きを手にしたまま、不満げに睨む。
「お前なぁ~……俺の崇高な趣味(剥製タイムラプス)よりカラオケを優先するとは何事だ?」
マルスがコーヒーをすすりながら相槌。
「あれ、カリスト以外誰も喜んでないぞ」
カリストだけが目を輝かせて「全フレーム永久保存です」とか言い出す。

だがウラヌスは動じない。
「まぁまぁ機嫌直せ、機嫌直せ。これお土産な!」
机の上にドンと置かれたのは、ゾンビサワーと血のカクテル。
まさかの“地獄カラオケ明け”ドリンクセット。

ユピテルが眉をひそめてラベルを睨む。
「なんだこれ……酒か?いや酒だな?」
すでに栓を開け、ためらいもなくグイッと一口。
カリスト、全力で止めに入る。
「ユピテル様!!?ラベル無しですよ!?絶対飲んじゃいけない酒ですよ!!
魔界基準でアウトですからね!!?」
だがユピテルは眉ひとつ動かさず、静かに呟く。
「うまい……」
肝臓が不死身なので、当然ノーダメージである。

その隙間を縫って、プルトが静かに話を振る。
「ところでウラヌス。カラオケで何か収穫はあった」
ウラヌスはニヤッと口角を上げる。
「爆イケなピクトグラム見つけた、雑巾ちゃん(=プルト)どうよ?流行ってるらしいぜ」
そう言って見せつけるのは、例のバイオハザードマーク入りステッカー。
プルトは一瞥し、真顔でコメント。
「これ、投げナイフにしたら殺傷力期待できそうですね」
実用性100%目線、安定の“闇の職人”発言。

マルスは「……それだけは確かに評価する」とか言いながらコーヒーをすするし。
カリストは「家紋ですか?いや違う、これは……」とまた家紋分析しはじめる。
ウラヌスは朝日の中で肩をすくめる。
「みんな元気でなにより。じゃ、二度寝してくるわ~!」
地獄の朝は、今日もだいたい平常運転である――。

ハンターオフィスの朝、徹夜カラオケ組がヘロヘロで帰還。
机に倒れ込むレイスたちの周りに、オフィス常連組がすでにコーヒー片手に集まっている。
ティアがカウンターから鋭い目で告げる。
「多分だが、あのカラオケボックス。ゼルノバ社製だな」
メーデンは寝ぼけ眼で首をかしげる。
「ゼルノバって何です?」
ロコが即答。
「ゾンビが出る場所は100%この企業がかかわってるって、安心と信頼のバイオハザードだにゃ!」
全員の会話を笑顔で聞いていたオフィス受付嬢、タイミング完璧な地獄の追撃スマイル。

「ちょうどよかった。ゼルノバ社関係の依頼がいくつか来てますよ?」
「完全防疫都市バイオフォートレス散策依頼。
もちろん、合成フードプラントや本社ビル散策も含まれます」
受付端末に“バイオハザード”がピカピカ光る。
脳みそと魂が眠気に埋もれたPT全員、なぜか本能でシンクロして「行く~!!」と即答。
……その場でバタバタと横になり、ひとまず仮眠タイム突入。
受付嬢は伝票をまとめながら小さく呟く。

「やっぱりこの街、みんな地獄耐性つきすぎですね」
グラットンバレー、今日もゼルノバが呼んでいる――。
次回、「完全防疫都市バイオフォートレス爆走ツアー」開幕!

仮眠タイム明けのオフィス、まだ全員ゾンビみたいな目をしてる。
けれど、「ゼルノバ社の依頼」に向けて準備だけはちゃっかり進めている勇者PT+ハンター組。
レイスが一人、カウンターの上で煙草をくわえつつ。
どこか“都市伝説語り”みたいなテンションで語り出す。

「ゼルノバ・バイオはな~……たぶん魔王軍の金髪(=ユピテル)は絶対めっちゃ気に入るから。
今度誘ってやろうぜ。あいつ、地獄ネタに関してだけは毎回ガチなんだよな」
ロコがパン片手に「どのへんが気に入りそうだにゃ?」と訊ねる。

レイスはニヤリと悪魔の笑顔を浮かべる。
「名前の通り“バイオハザード”が起きて、都市ごとロックダウンして……。
まぁ、分かりやすく言えば“ラクーンシティ化”した。
外にはゾンビ、中にはバグったAIと生きたパック肉。
合成ペットの展示会でスライムが分裂しまくり。
地下には『完全防疫ゾンビ軍団』、市民は全員スーツ着たまま感染拡大――」

一瞬沈黙。
全員そろって「地獄じゃん!!!!!」と朝から最大ボリュームの合唱が響く。
受付嬢は書類を片手に小声で追い打ち。
「まぁ、都市伝説だと思って行くと本当に死ぬので、ご利用は計画的に」
「いや、マジで不死身の肝臓ほしいにゃ……」
「パック肉とゾンビサワーだけは持ち帰るから!!」
「なるべく怖くないルートでお願いします……」
魔王軍の金髪と合流する前から、今日もグラットンバレーは地獄観光スタートである。