社長、ろくろ回してる説
北エリアの聖地――ハスタードーナツ本店。
カウンター席には勇者ズがズラリ。
そして、目の前には「黒髪・金眼・褐色肌」の少女。
誰がどう見ても可愛い。だが勇者ズは、もう完全に悟っていた。
黒髪×金目×褐色=“あいつ(アンラ・マンユ)”の公式。
ガイウス、チョコドーナツをトレイに乗せながら、やや本気の愚痴を漏らす。
「俺さ……もうお前ら(アンラ・マンユ)のせいで。
黒髪で、褐色で金目の奴見たら無条件で化身って思うようになったんだが」
「色がな、あまりにも“闇の者”なんだよお前ら。ホラーかよ」
ロリアンラ、カウンターでドーナツ頬張りながら爆笑。
「それは御気の毒にwww 勇者くん、チョコリングあげるよ?
黒髪とチョコは同じ色だし~? 違いが分かるかな?」
メルクリウスは苦笑しつつ、ナプキンで手を拭く。
「……まぁ、黒髪褐色金目のインパクトは本当に強すぎるからね。
むしろ色覚が正常な証拠じゃないかい?
この美術館やアバドンじゃ、同じ色ばかり探す方がよっぽど大変だよ」
サタヌス、クリームドーナツを黙々と齧りつつ。
「俺もこの前、ドーナツのチョコ見て社長の髪思い出して気分悪くなったわ」
ヴィヌスはスマホで自撮りしながらつぶやく。
「美形だと許されるけどね♡ ……でも社長の“煽り顔”は万死に値するわ」
ロリアンラは満面の笑みで追加ドーナツを差し出す。
「下等生物でも味覚はまともでしょ?じゃあ食べなよ!カロリーは気にするな☆」
勇者ズはドーナツを齧りながら「またこいつに弄ばれてる」という地獄感に包まれていた。
この時点で誰一人、今日の本題。
「社長、ろくろ回してる説」が現実化するとは想像していなかったのである。
サタヌス、チョコドーナツを半分齧ったまま、ぽつり。
「なぁ……アイツ、化身どうやって作ってんだ?
やっぱさ、モルフスの工房で俺達がやってるみたいに……ろくろを……」
その瞬間、勇者ズ&アンラ(ロリ化身)、全員が一斉に想像した。
神域の中心で、黒髪・金目・褐色肌のイケメン社長。
アンラ・マンユが、真顔&黒スーツでろくろを回している。
ガイウス、顔を真っ赤にして思わず叫ぶ。
「やめろ!!よくITの社長はろくろ回すっていうが、そのろくろじゃねぇだろ!!」
ロリアンラは喉を押さえつつ爆笑。
「それ最高!ドヤ顔で粘土こねてるの……超見たい!」
「“君たち、まず黒髪をしっかり練り込むんだよ”って言ってそう!」
勇者ズ全員の脳内に、“神域社長ろくろ実況”が同時上映される。
あまりの光景に、サタヌスは飲み物を噴きそうになるし。
メルクリウスは真顔で「絶対どこかでやってる」と信じかけている。
ヴィヌスはスマホのカメラを向け、空に向かって「絶対ネタにする」と誓っていた。
カウンターのドーナツ職人(店長)が「ろくろは神の道具」とか。
うっかり呟いてしまい、全員、今度こそ飲み物を盛大に噴き出すのであった。
メルクリウスはうっすら苦笑しながら、ドーナツを口に運ぶ。
「案外……本当にそうかもしれないね。
美意識が極端だから、“自分の理想のバランス”で造形してるんじゃないかな」
ヴィヌスはクールぶってるが、肩が震えてる。
「そのシーン、ライブ中継したら伝説になるわね。アバドン市民全員が真似しそう」
ロリアンラは後ろで腹を抱えて爆笑しつつ、パレットと粘土をテーブルに広げ始めた。
「やってみる?“即席化身ワークショップ”!下等生物のみなさん、社長ごっこどーぞ☆」
気づけば、勇者ズ+周囲のアバドン市民・子供・店員までもが。
「社長ろくろ回しポーズ大会」に巻き込まれる。
ドーナツ片手に粘土をこねながら、全員がドヤ顔をキメる大惨事。
ヴィヌスは配信カメラを回し始め。
サタヌスは「社長のドヤ顔粘土作りは絶対配信すべき……」と真顔で呟く。
ハスタードーナツ本店は一瞬で“異界のろくろワークショップ”と化し。
謎の「アンラ様化身粘土キット」がバズって全国民に拡散。
後日、モルフス工房では“社長ごっこセット”が子供たちに売り切れ続出!
既にアバドン民の脳内で「社長ろくろ回し伝説」は公式設定となってしまったのだった。
北エリア、ハスタードーナツ本店。
「ろくろ回し伝説」怪文書が燃え盛るカウンターに――カランカラーン♪(不協和音)
――異様な音色が店内を引き裂く。その瞬間、全員の脳内に緊張が走った。
扉が開いた。
そこに立つのは、黒髪・金目・褐色肌の――神そのもの。
アポカリプス教アンラ派の信徒たちが最前列で叫ぶ。
「推しが……じゃない、神が降臨されたああああ!」
「尊い……」
アンラ・マンユ、謎の自信に満ちた悪魔顔で堂々登場。
その存在感、理不尽、圧倒的。
「私はそんな原始的手段で創造はしていないッ!邪神だぞ私は!?
……もっと、こう、宇宙的で概念的で――ああ、説明するのも馬鹿らしい!」
※絶対言い訳のテンプレ。言い切りの顔が妙に悪辣。
一瞬で空気が凍り、だがロリアンラはすかさず最大音量で爆弾投下。
「あ~お父様だ~。やっぱろくろで生まれたの私?」
満面の笑顔、周囲への煽り性能が神クラス。
ヴィヌス、耳を疑いそのままツッコミ発射。
「お父様!?推定男性扱いでいいの!?」
ロリアンラはクルッと回ってポーズをキメる。
「いやまぁ区別よ区別。“邪神”って、だいたい推定男性じゃん? ほら、パパ的存在ってことで!」
この日、アバドン市民全員が“パパ”と“社長”の境界を失った。
アンラ・マンユは無言で額を押さえ、世界で一番深い溜め息。
「……ああもう、下等生物は自由すぎる……!」
だがカオスは止まらない。
サタヌスがわざとらしく肘をつき、ニヤニヤしながら追撃。
「なー社長。次こそ“ろくろライブ配信”やってくれよ。世界中が見るぞ」
信徒の一人が謎のガチ泣き。
ガイウスもポンデリング片手に乗っかる。
「絶対やんねぇだろ……でも“邪神のろくろ芸”は一度だけ見てみたい気がする……」
妙に真顔な勇者、好奇心が勝っている。
ついに社長、限界突破。
「私はろくろを回して等いないっ!!!」
本日最初で最後の、アンラ様激おこ(珍しい)。
店内は一瞬静寂、だがすぐに信徒も、勇者ズも「ろくろ回しポーズ」を止めない。
アバドン、今日も神すら尊厳を失う地。
ろくろは回され、伝説は作られる。
店内――異様な熱気が続く中、アンラ・マンユは落ち着き払った悪魔スマイルで語り出す。
「ふぅ……いいかね下等生物諸君」
「そもそも私は神ではない、君たち知的生命体の集合的無意識より生まれた存在だ」
信徒のため息と尊みで酸素が薄くなるなか、注文したゴールデンチョコを一口齧る。
「君たちにわかりやすく言えば……」
ここで――無意識に、インタビューでIT経営者が絶対やる“例のポーズ”
両手を宙に掲げ、エアろくろをゆっくり回し始める。
それはあまりに自然で、あまりに“社長”だった。
サタヌスが、勝ち誇ったようにツッコむ。
「やっぱろくろ回してんじゃんおっさん」
店内にいた勇者ズ&信徒全員が一斉にザワつく。
「証拠映像来たわこれ、公式設定でいいわね?」
ロリアンラは「やっぱり私もろくろで生まれたんだ~!」とノリノリで便乗。
店員すら「ろくろ回しドーナツ」新メニューを検討しはじめる。
アンラ・マンユは一瞬固まり、額に手を当てたまま。
「……ああもう!」
怒鳴りたくても怒鳴れない。“無意識のポーズ”が炸裂した瞬間だった。
SNSと深淵BBSでは、「社長ろくろ目撃情報」「#やっぱり回してた」タグが大炎上。
“アンラ様ごっこ”をやる子供たちの写真が全国に拡散された。
アバドンの神――今日も尊厳は風に消えていく。
ついに、アポカリプス教の信徒たちまでが壊れ始めた。
「我らがアンラ・マンユ様!」
「その手は……創造の手と見做してよいでしょうか!?」
誰が言い出したかもはや分からない。
だが気づけば、勇者ズ・ロリ化身・店員・モブ客・信徒。
店内の“全員”が無意識に、“エアろくろポーズ”を取り始めていた。
アンラ・マンユは一瞬だけ絶句、すぐに諦めの笑みを浮かべて。
「……好きにしなさい」
とだけ返す。
(※根本的に人間好きなので本気で怒れない)
だが追撃は忘れない。
「だが重ねて言うが!!私は土から化身は作っていないからな!?アダムか!創世記か!?」
信徒たちの感極まった声。
「神話が生まれた……」「推しのろくろは世界一!」
勇者ズの「記念写真!記念写真!」
ヴィヌスの「今度は焼成シーンもやって!」
ロリアンラの「お父様“パパライブ”配信して!」
サタヌスとガイウスはすっかりノリノリで「#ろくろ芸全国大会」の話まで始めている。
アバドン、今日も“神話”は現場で作られる。
尊厳?そんなもの最初からなかったのだ。
勇者ズがドーナツ片手に“ろくろ”ポーズで盛り上がった後。
ガイウスが、ふと真面目な顔で聞いた。
「で、聞きそびれたんだが結局。アンラは化身どうやって作ってるんだ?」
ロリアンラは飄々と笑って答える。
「あとでちゃんとお父様に聞いてみたら」
「深淵の泥とか絶望とか、まぁ小難しいこと言ってたから覚えてないけど。
とにかく色々混ぜて創るらしいよ♪」
サタヌスは即座に食い気味。
「やっぱろくろ回しじゃねぇか」
メルクリウスが横で眼鏡をクイッとしながら、淡々と毒を吐く。
「いや、混ぜるってことは……ねるねるねるね形式かもしれない」
ヴィヌスは自撮りしつつニヤリ。
「社長、また尊厳破壊されるわね♡」
テーブルにはお持ち帰り箱――例の“あのカタチ”。
中身はサタヌス&ロリアンラの悪ふざけで全部チョコリング。
「さっ帰るか、サータ、アンラ。お前らのリクエストだから、ちゃんと全部食べろよ」
外の世界では、またひとつ。
「アンラ・マンユろくろ伝説」が、誰にも止められぬまま更新されていく。
そして今日も、ろくろは誰かの手で回されている。
後日-化身に「お父様」「父」と呼ばれていることが露呈した瞬間。
アポカリプス教・アンラ派信徒たちに激震が走る!
「……我らが崇めていた神は、子持ち(?)だったっ!」
「新時代到来!? “父なるアンラ・マンユ”で統一?」
ロゼッタ大司教、いつもの深読み怪文書を手に会議開始。
「ふーむ……今日から“父なるアンラ・マンユ”に統一すべきでしょうか?」
「それとも、もっと親しみやすく……パパ?」
ヴィヌスは一歩引いて毒舌全開。
「最悪のパパ活だわ♡」
パパ活=邪神崇拝、アバドン新語録入り確定。
アンラ・マンユは――その様子に。
「フフフ……私は無意識の神、すべての知的生命体の隣人」
と、シャーロックホームズハンドでカッコつけた直後。
「……それはそれとし、パパはやめなさい」
と、人類の“愛しさ”と“照れ”を隠しきれない超レアイベント発生。
信徒たちは尊みで悶絶。
「パパ!」「父なる神!」がトレンド入りし。
アバドン中に「#アンラパパ」「#パパ活」タグが拡散された――。
アンラ様、今日も尊厳と愛で世界を回している。