な ん で も 母 乳 機
なかよしバザールの闇
〜発明家の業が深すぎる編〜
アバドン南区、“とくに狂ってる”ことで有名な区画-なかよしバザール。
路地裏の奥、誰も得しない発明ばかり展示されているその地にて、
今日もまた、“開けてはならぬ箱”が開かれた。
【問題の商品】
「な ん で も 母 乳 機」
製品コード:MMG-88(ママがマジでギリギリ)
発明者:ドクター・ボーボー
経歴:元・王都医療局、現在は“ヌルヌル系専門研究家”。実家は乳搾り牧場。
【開発動機(本人談)】
「いやほら……“出る系”っていいじゃん……」
アウトです。
【性能(抜粋)】
任意の対象に装着すると「母乳のようなもの(※個人差あり)」を抽出可能。
性別・種族・年齢 一切不問。
概念的母性が可視化され、液体として出力される。
母性とは“可能性”なんですよォ……!!
男だって!!機械生命体だって!ママになれるんだあああああ!!!!
【副作用(地獄)】
精神の“お母さん比率”が強制的に上昇。
使用者によっては母性過剰状態
(MPD:ママ・パラノイア・ドリフト)に突入。
一部のユーザーが“世界を包み込みたい”衝動に駆られて帰ってこなかった。
被害者ログ:なんでも母乳機事件簿
〜記録されし者たちの断末魔〜
No.1:ガイウス
「ほらママ!これで合法的に授乳できるぞ!?」
「ママじゃねええええ!!断固拒否するうううう!!」
アバドン南区を5分間全力ダッシュ。
スラム裏通りで見つかったとき、アホ毛が風で“ひらがな「し」”になっていたという。
なお、逃げてる間に3人の子どもに“ママー!”と呼び止められた模様。
No.2:ヴィヌス
「……え?なんで私の出力液がバニララテ味なの??」
不安と恥じらいに包まれるヴィヌス。だが、それ以上にキレたのはこの一言。
「淫乱女王の味」とか言った奴!!!
被告:サタヌス
判決:死刑(即時執行×3)
その日、サタヌスは3回死んだ。
【死因①】:蹴り(ふともも裏)
【死因②】:雷属性の魔法剣
【死因③】:自己尊厳の蒸発
No.3:メルクリウス
「ぼ、僕から出たの……ハーブティー味だ……」
なぜかティーカップに注がれていた。
出てきた液体は透明感のある青。
しかもほんのりミント入り。
色も味も青属性の具現化。
なんだその、納得できそうでできない中間管理職感は。
サタヌスいわく「“部下の相談に乗りたくなる”味」
もはや液体なのに責任感を持ち始めてて草。
なかよしバザール掲示板†より抜粋
住民たちの狂気染みたリアルボイス
老女(孫に甘いタイプ)
「こないだ孫があれに手を出してな……ワカメ味が出たんじゃ……」
「なぜか……しばらく海の幻聴が聞こえとったよ……」
使用後、潮の香りを残して消えたとのこと。
物売りの商人(良識人枠・絶望済)
「いやぁ……商品説明に“倫理的にはバグです”って書いてあってよ……」
「買うかどうか迷ったが、気づいたらレジ通ってた」
買った。
謎の術師(明らかにアンラ信者)
「……かのアンラ・マンユですら苦笑いして帰っていったぞ」
「あの時『ちょっと違うかな』って言っていた……」
【噂の真相(裏設定)】
実はこの装置──
かつてアバドンに封印された「地母神とのシンクロ率」を測るために設計された、
超・超・超・高次存在用の精神同調装置だった説が浮上。
「母性とは、個を超えた命への応答」
「……その共鳴が、液体というかたちで流れ出すんだよ」
つまり、「“命の水”=母乳もどき」という実に最悪な解釈で、深淵に帰還してきたアイテム。
つまりサタヌスが「ママァ!」と叫ぶたび。
MMG-88が微妙に光るのも【魂が応えた証】だったのだ。
そしてこの現象は「母性共鳴指数:S級」と判定される。
【結論】
「それっぽいことが合法になると、人間は堕ちる」
発明は人を救う。だが、それっぽさは人を破壊する。